◇ 左螺子式 ◇

私が子供の頃、この地方に展開していた
ステーキハウスのチェーン店「あさくま」は
私にとって、とても神々しいお店だった。


ぴぴさんによる最新の「あさくま」情報もどうぞ！

ぴぴさんとこに [「Go」]:http://sapolog.com/u/1216/BGM/0000024278.html

追記・ [「あさくま」]:http://www.asakuma.co.jp/ のHP　実は、あったのでした。

みなとさんも行ってきたそうです。飛び出るハンバーグ画像は、一見の価値ありありです。→ [Go!]:http://sapolog.com/u/1304/diary/0000024571.html

私が幼い頃、うちでは、しばしば家族揃って外食を
楽しむことがあった。

しかし、行く店は町内の定食屋さんか、うどん屋、ラーメン屋
などがほとんどだった。

1,000円で焼肉食い放題という主旨の店が大ブームに
なったことがあり、数回連れて行ってもらったが、ステーキ
を食わすような店には、行ったことがなかった。

「あさくま」は、いつも憧れの店だったのだ。

ある時、親戚の用事で父方のおばさん達と一日を共に
する機会があり、用事が済んで帰るとき立ち寄った岡崎市で
昼食をとろう、ということになった。

どこの店に入ろうかと物色しながら車を走らせていたおばさんは、
やがて街道沿いの一軒の店に入った。

そこは「あさくま」だったのだ。

当時、小学4年？だった私は、思わぬ幸運に感情が昂ぶった。

「あさくま」で食事ができるのだ。

店に入った。

初「あさくま」は、とても高級そうなレストランに思えた。

メニューを見ると、いつも食べてる店とやはり金額が違う
というのが、幼い私にも感じ取れた。

どれにしよう？迷った。

おばさんは、もちろんご馳走してくれるつもりなのだが、
ステーキ肉など、とても頼めない。

当時の私の金銭感覚では、それを奢ってもらうことを良しと
しないのだ。贅沢すぎて罰があたる、とでも言おうか。

さらにメニューを細かく見ると、ハンバーグステーキというのが、
あった。

限りなく肉だが、ステーキじゃないし、ちょっと安い。

これだ！これにしよう。

私の初「あさくま」は、ハンバーグで幕を開けたのである。

やがて、ハンバーグステーキが来た。

楕円の黒い鉄板にジュージューいいながら鎮座されてる。

内容は忘れたが、付け添えもついてた気がする。

そして見慣れぬ丸いもの。

私は、好きな物は最後まで残しておいて、フィニッシュで
口にするタイプだった。

好きな物の味の余韻を残して食事を終えたいからだ。

その見慣れぬ丸いものは、当時の私には肉を口に運ぶ前に
熱で軽く焼く物だということが、わからなかった。

何か、おまけの肉のように見えたのだ。いい色合いだったし。

ここは、「あさくま」だ、未知の世界なのだ。

おまけで肉が付いていてもおかしくない。←おかしいよ

その物体の正体を知らぬまま、食事は進み、ついに
フィニッシュとなった。

私のフォークが、その丸いものに、いよいよ向かう。

期待を込めてそれを差す。

「ガチーン」

「？」

「何だ、コレ？」

「石？」

正体は、まだわからぬものの、どうやら食い物では
なさそうだというのが、わかった。

もちろん、肉なんかじゃ無い。

あの時の悔しさというか、ガッカリ感というか、わかって
もらえるだろうか？

「あさくま」という言葉を聞くと、今でも思い出して
しまうのである。

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